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最終更新日:2015年4月23日
桜の賦(ふ)は、松代藩士で儒者であったが、後に西洋の学問を学び進歩的考えをとなえ、明治維新前後の日本に大きな影響を与えた佐久間象山(さくましょうざん)の作である。この賦で象山は、桜の花が陽春のうららかな野山に爛漫と光り輝き人々の心を動かし、日本の全土に壮観を呈しその名声は印度、中国にまで響き、清く美しいさまは他に比類がないと云い、当時象山は門弟吉田松陰の密出国の企てに連座(れんざ)松代に蟄居(ちっきょ)中であったので、深山幽閉中で訪れ来る人もないが自ら愛国の志は堅く、この名華の薫香のように遠くに聞こえると結んでいる。
この賦は象山50歳(万延元年1860)の作と云われ2年後の文久2年(1862)孝明天皇の宸賞(しんしょう)を賜った。象山は蟄居赦免(ほうめん)となり翌年京に上り皇武合体開国論を主張してやまなかったが一徹な尊皇攘夷(そんのうじょうい)論者によって刺され、元治元年(1864)7月11日54歳の生涯を閉じた。この碑は遺墨(いぼく)をもとに門弟勝海舟の意によって同門北沢正誠(まさなり)の文で書は日下部鳴鶴(くさかべめいかく)である。明治14年11月15日と刻まれている。この下に挿袋(そうたい)石室が埋蔵されている。
王子1-1-3 飛鳥山公園