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掲載開始日:2021年3月9日
最終更新日:2022年10月3日
東京2020パラリンピック競技大会の陸上競技に出場し、混合4×100mユニバーサルリレーにおいて銅メダルを獲得した区内在住・区内小中学校出身の澤田優蘭選手から北区長にパラリンピック出場の報告をしていただきました。
澤田選手へのインタビューも実施しました!
※質問内容は東京2020大会プロジェクトチーム(愛称:#ときおぱ)のメンバーが考えました。
Q 生まれた場所も北区ですか。
A 生まれたのは埼玉だったのですが、5歳の時に赤羽に引っ越してきて、そこからずっと赤羽でした。中学校は北区役所の向かい側にある順天中学校に通っていて、王子にも来ていました。
Q 小さい頃を知っている人も北区内には沢山いますよね。
A そうですね。
Q パラリンピックは他の大会と違って特別な雰囲気がありますか。
A やはり、パラリンピックと世界選手権は違います。私も他の選手もですが、パラリンピックに向けて4年間練習しているので、緊張感や雰囲気は全然違います。
Q パラリンピックを楽しむことができましたか。それとも悔しいですか。
A 走り幅跳びは金メダルが十分狙える記録だったので、悔しい気持ちがありますが、今シーズンはケガや不安な気持ちがある中でも、沢山の方にサポートしていただいて、無事にパラリンピックの舞台に立つことができ、嬉しく思っています。走り幅跳びはメダルを取ることができなかったのですが、この舞台を楽しもうという気持ちをもって望むことができました。2008年の北京パラリンピックに出場した時は、出場するだけで精一杯で、楽しむ余裕がなかったので、今回はメダルを争いながら競技を楽しむことができたと思っています。
Q 日本と海外の大会では雰囲気が違いますか。
A そうですね。調整の仕方は海外の方が気を遣います。国内は特別で選手村でも納豆などの日本食が食べられますが、国内の国際大会ではパラ陸上があまりなく、海外ではパンが多く、時差の調整も生じます。私は食べることが好きなので、食べられなくなることはないのですが、選手によっては調整が必要なこともあります。試合会場の緊張感があるなかで、今回のパラリンピックでは日本語が通じるということが大きかったです。ちょっとしたことをスタッフに日本語で聞けることや日本語が聞こえてくる環境というのはすごく安心感がありました。
Q 海外の選手と話すこともあるのですか。
A はい、顔を合わせたときに会話をすることはあります。いつも会う選手は「また会ったね。」みたいな感じになります。いろんな世界大会で会う選手がいるので、全く知らない選手ではないので、ほっとする瞬間でもあります。
Q ユニバーサルリレーのメンバー全員で練習する機会はありましたか。
A かなり練習しました。ユニバーサルリレーは2018年から新しく始まった競技で、東京2020大会からパラリンピックで初めて採用されました。男子と女子がタッチ(※ユニバーサルリレーはバトンではなく、直接タッチして次の走者に繋ぎます。)する場合、スピードが全く違うので、どのくらいの距離でタッチを繋いでいくのか、未知数な部分が多かったです。また、脳性麻痺の選手から車いすの選手にタッチする場合は姿勢を低くするため、バランスをとることが難しく、一人ひとり障害の程度によって違うという点でも、試行錯誤しました。2年間かけて、たくさん合宿を重ね、いろんな選手の組み合わせや映像を分析して、練習してきました。
-100mだけでなく、走り幅跳びもやっていますよね。速く走ることが跳ぶことに活かされていますか。
走り幅跳びの助走はトップスピードで走るので、走力は重要だと思います。
Q 今回のユニバーサルリレーで一番練習したことはタッチの部分ですか。
A リレーに関してはタッチの部分ですね、日本は個人の走力では、メダルを取った他の国に引けを取るので、いかにタッチの部分でロスをなくすことができるのかを重要視して、リスクを伴うギリギリのラインで練習しました。
Q タッチの部分で失格になってしまう場合もありますよね。
A 今回の中国は予選でも世界記録を出していて、本来であればメダルを取れる力がありました。2019年の世界選手権では、日本を含む複数国が失格になり、タッチの部分のミスも多いので、しっかりとゴールまで走りきるということも大事かなと思います。その結果が銅メダルに繋がったと思います。
Q 4人のチームワークを高めるために心掛けていたことはありますか。
A 合宿が多かったですね。また、もともとの障害も種目も違うので、一緒に走る経験がなく、皆がどのくらい力があるか最初のうちは知らなかったです。それが、リレーの合宿をすることで、お互いに興味・関心を持つようになり、出場している大会での結果や皆の走りを応援するなど、少しずつ意識するようになったことでチームワークが生まれ、お互いのモチベーションに繋がっていきました。
Q ユニバーサルリレーの伴走者との練習やコミュニケーションが大事になってきますね。
A 週に何回も練習して、一緒に日常生活を過ごすことも大事だと実感しています。
Q 高校から通った盲学校でパラスポーツに出会ったと思うのですが、それ以前と比べて考え方の変化などはありましたか。
A もともと陸上競技が好きでやっていたのですが、私の目の病気が進行性だったこともあり、中学生ぐらいの時にスポーツをすることが怖いと感じて、走る時に恐怖心がありました。そんな中、パラリンピックと出会い、サポートしてくれる人がいることは、恐怖心がなく一人で走っていた頃と何も変わらないと気付きました。一人でやろうとすると怖いけれど、誰かにレーンを見てもらうことや声をかけてもらうことで、何かにぶつかる恐怖心がなく走れるようになり、目が見えていた時と同じ陸上競技の楽しさと変わらないと気付けました。ちょっとした工夫でスポーツの楽しさが変わりましたし、パラ陸上に出会ったことで、障害に対しても少しの工夫や周りとのコミュニケーションでプラスに変えることもできると思えました。自分が好きなスポーツを通じて目標を定め、それに向かって頑張る楽しさをもう一度実感することができました。
Q 練習は味の素ナショナルトレーニングセンターでやっているのですか。
A はい、昨日も練習してきました。また、十条にある東京都障害者総合スポーツセンターも高校生の時から使っています。味の素ナショナルトレーニングセンターは、新型コロナウイルスの関係から人数制限もあるので、そこを使いながら東京都障害者総合スポーツセンターや一般の競技場も使っています。
Q 次に向けての練習が始まっているのですね。
A 来年、世界パラ陸上競技選手権大会が神戸で開催されます。日本で初めての開催となる世界選手権に向けて、今はトレーニングしています。
Q 世界選手権でもパラリンピックと同じ100m・走り幅跳び・ユニバーサルリレーでの出場を目指しているのですか。
A 100mと走り幅跳びは個人種目なので、出場とメダル獲得を目標に頑張っています。ユニバーサルリレーは、メンバー構成がコーチの判断になりますが、そのメンバー入りを果たし、メダル獲得に貢献したいと思っています。
Q 100mのタイム(日本記録12秒39)を更新できそうですか。
A まだまだ100mのタイムは更新できると思いますし、やるべきこと、課題もあるので、しっかりとクリアしていけば100mだけでなく、走り幅跳びも自己ベストを更新できると思っています。
Q 怪我は多いですか。
A アキレス腱を痛めたり、肉離れをすることがあります。
Q 毎日練習しているのですか。
A 週5日は練習しています。走ったり、跳んだり、筋トレをしています。
Q 長期間休むことはないのですか。
A シーズンが終わって、その後に2週間ぐらいはリフレッシュで休みます。
Q リフレッシュはどんなことをしているのですか。
A コロナ禍ということもあり外出ができないので、家の中で音楽を聴いたり、自分でコーヒーを淹れて飲んだり、映画などを観たりして過ごしています。
-目を近づけて見るのですか。
そうですね。近づけて見ますが、ぼんやりしているので、音に頼りながら楽しんでいます。イメージしていることもあります。
Q 今後の目標は。
A 金メダル獲得を目標にやっているので勝ちたいですね。世界選手権もパリパラリンピックもメダルを獲得して、表彰台に登って君が代を聴きたいです。
Q 区民の皆さんに一言お願いします。
A 東京パラリンピックは自国開催で、私が生まれ育った東京だったので、本当にたくさんの方に観てもらって、応援を肌で感じることができました。生まれ育った北区で練習してきて、東京パラリンピックに出場してメダルを持ち帰ることができて、応援していただいた感謝の気持ちを少し恩返しできたのかなと思います。今回の悔しさをバネに金メダル獲得という目標に向かって頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。
大会報告は9月中旬に行っていただきました。
澤田優蘭選手、ありがとうございました。
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