ホーム > 文化・観光・スポーツ > 北区飛鳥山博物館 > 北区の歴史と文化財 > 歴史文化財リスト > 歴史文化財リスト浮間地区 > 文化財説明板浮間ヶ原の桜草
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最終更新日:2015年4月23日
ここに咲く桜草は、日本に固有の品種で、プリムラ・シーボルディという学名がつけられています。四国を除く北海道から九州までの湿地に自生する多年草で、四月の中旬から下旬にかけて淡紅色の小さく可憐(かれん)な花を咲かせます。
荒川流域では、昭和の初期までは浮間ヶ原や対岸の戸田ヶ原、田島ヶ原に数多く自生していました。田山花袋(たやまかたい)は大正7年2月に出版された『一日の行楽』という著書のなかで浮間ヶ原を取りあげ、毛氈(もうせん)を敷きつめたように咲き乱れる桜草が、ここを訪れる女学生達と織りなす美しい情景を描いています。
戦後、浮間ヶ原の桜草は自然環境の変化や荒川流域の開発で絶滅の危機に瀕(ひん)しましたが、僅(わず)かに残った桜草が圃場に移植され、昭和37年8月には地元の人々によって浮間桜草保存会が結成されました。
桜草は暑さと乾燥に弱く、この性質を補っていた荒川の自然条件は、保存会の人々の心を込めた栽培作業によって保たれることになりました。
現在の圃場は昔の浮間ヶ原の面影を取り戻そうと計画され、当初の圃場を移転して開設したものです。
北区浮間2丁目 都立浮間公園内