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掲載開始日:2022年9月16日
最終更新日:2024年8月21日
結核は過去の病気ではありません。現代でも日本で年間約1万人以上の患者が発生している、主要な感染症です。
結核患者は年々減少傾向にありますが、令和4年は全国で年間10,235人、都内では年間1,193人の新規結核患者の発生がありました。
厚生労働省では、9月24日~30日を「結核・呼吸器感染症予防週間」と定め、結核に関する正しい知識の普及啓発を図っています。
全国の結核り患率(※1)は、1999年以降減少傾向が続いています。令和4年の結核り患率は8.2と10以下であり、世界保健機関(WHO)の分類で「低まん延国」です。
令和4年の結核り患率(平均)は全国8.2、東京都8.5、北区12.4です。
令和4年に、北区では新たに44人(潜在性結核感染症※2 含まず)が結核になりました。近年の患者数は減少傾向で推移していますが、結核り患率は全国平均や東京都平均を上回り、東京都の市区町村の中では5番目に高い状況です。
北区の結核は、全国同様、高齢者に多く見られます。特に高齢者は結核の症状が目立たず、体重減少などをきっかけに発見されることも多いです。
※1:結核り患率とは、1年間に発症した患者数を人口10万対であらわしたものです。
※2:潜在性結核感染症とは、結核に「感染」していますが、「発病」していない状態です。体内に結核菌がとどまっており、発病リスクが高いため、発病を防ぐ予防内服をすることがあります。
結核は、結核菌が体の中に入ることによって引き起こされる感染症です。
結核菌を出している人のせきやくしゃみなどの「しぶき」と一緒に、結核菌が空気中に飛び散り、それを周りの人が直接吸い込むことで人から人にうつります。これを「空気感染」といいます。多くの場合は、結核菌を吸いこんでも体の抵抗力により追い出されますが、結核菌が体内に残ることがあり、これを「感染」といいます。
感染後に結核菌が体内で活動し始め、病巣ができることを「発病」といいます。
結核に感染しても、すべての人が発病するわけではありません。発病するのは、感染した人の1~2割といわれています。持病などで免疫力が低下している場合などは、発病しやすくなります。
発病すると、結核菌が体の中で増殖し、せき、たん、発熱などの症状が現れます。
最初のうちは症状がほとんどないことや、風邪と似た症状のことがあります。風邪が長引いているな?と思っているうちに進行することもあります。
2週間以上続くせき、たん、発熱は、結核の注意症状です。
結核は早期に発見し、早期の治療で、通院で治療できることが多いです。また、早期発見・早期治療で重症化せずに、周りの人へ感染させる可能性が下がります。
【早期発見・早期治療のために】
1.せきやたんが2週間以上続く、微熱や体のだるさが続く、体重減少などの症状がある場合は、結核の可能性もあります。事前に連絡の上、早めに医療機関を受診しましょう。
2.職場や学校の定期健康診断や、区民健診等の機会を利用して、年1回は胸部X線検査を受けましょう。胸部X線検査で、発病が発見されることが多くあります。
結核は、早期に適切な治療を受ければ治癒し、周囲への感染も防げます。医師に指示された期間(多くは6~9か月)、指示通りに薬を飲み続けると治ります。
薬を飲み始めると症状は改善されますが、症状が消えても体の中で結核菌は生きています。勝手に内服を中断したり、薬の飲み忘れがあったりすると、症状が悪化するだけではなく、薬が効かない耐性菌ができることがあります。耐性菌になると治療が難しく、治療期間も長くなりますので、服薬を続けることが大切です。
結核の医療には、公費負担制度があります。
結核は、誰もがなりうる病気です。治療開始後は、医師の指示に従って治療を受けることで、周囲への感染を防げます。正しい知識を持ち、ご自身や周囲の方の健康を守りましょう。
予防のためには普段からの健康管理が大切です。喫煙、低栄養、過飲酒、免疫低下しやすい持病などは抵抗力が低下しやすく、結核の感染率・発病率を上げるといわれていますので、生活習慣や持病のコントロールに気をつけましょう。
乳幼児は抵抗力が弱いため、結核菌に感染すると発病しやすく、重症化しやすいので、BCGの予防接種を受けましょう。
お問い合わせ
所属課室:北区保健所保健予防課感染症係
〒114-0001 東京都北区東十条2-7-3
電話番号:03-3919-3102